思想

誰を師と仰ぐか

マネー・コンサルタントの本田健氏は、蔵書を10万冊ほど所有していらっしゃるそうです。彼が尊敬していた評論家の渡部昇一氏が同じく10万冊ほどの蔵書を所有されていたそうなので、いつか自分もそのようになりたいと願い、精進されたのでしょう。実際、本田氏は渡部氏にお会いする夢がかなったそうです。
面白いのは、両者が著作で書いているジャンルは同じではない、ということです。
渡部氏は専門は英文法学なのですが、彼が多くの人に知られるようになった初期の作品としては『知的生活の方法』という本があります。英語学の本以外にも、日本の歴史を踏まえて、ともすれば戦前の日本の価値観や行動の全てが間違っていたとされてきた当時の論壇の中で、「日本には日本の言い分がある」という主張を堂々と展開されました。そのアイディアが枯渇せずに次々と湧いてくる秘密を解き明かしたのが『知的生活の方法』です。
それと比較しますと、本田氏は、「人はどうすれば豊かになれるか」というテーマで著作を書いてきました。彼の作品に、政治思想や時事問題は基本的に出て来ません。現在でも本田氏の本に御写真は原則として掲載されていないと思いますが、最近ではYouTubeで、そのお姿を拝見出来ます。落ち着いて穏やかな、「大人としての風格」を感じます。
お金を儲ける方法を伝授している御仁達の中に、ギラギラ系とも言うべき「儲かった奴の勝ち」みたいな価値観の人もいるのは事実でしょう。
しかし、本田氏の説くところは、そのような価値観や生き方とは縁遠いと感じています。
彼は若い頃に、「1億円貯めるまでは車を所有しない」と宣言して実行し、1億貯めた人物なのです。
昔は若い男性であれば、お金を貯めたらまず車を買うのが常識だったような時代です。
そのような風潮に背を向け、贅沢を控えてお金を貯めていたのです。