思想

ユダヤ人とジョーク

ユダヤ人はジョークが好きな民族だそうです。アインシュタインもフロイトも、ジョークが得意だったそうです。

ユダヤ人と言えばトーラー(聖書)を重んじ、生涯に渡って学び続ける勤勉な人々というイメージがありますが、真面目さとユーモアが同居している、共存出来る民族なのです。

世界は広いですから、ユーモアを不謹慎だと捉える民族もいます。ドイツ人とか、そうらしいです。

マーヴィン・トケイヤー氏によると、チャールズ・チャップリンはユダヤ人だそうです。トケイヤー氏はユダヤ教のラビ(宗教指導者)であり、ニューヨークのユダヤ人学校の校長も務めた人物ですので、それほど出鱈目な事を書き記すとは思えません。

しかし、ウィキペディアでチャップリンを調べますと、ユダヤ人とは書き記されていません。
トケイヤー氏いわく、「彼が生まれたロンドンの地区を調べれば、ユダヤ人が多く住んでいた地区であることがわかるだろう」とのことでした。

チャップリンがユダヤ人であるか否かということは、長い間議論されてきました。

チャップリンは「あなたはユダヤ人ですか?」と質問された時に、不思議な答え方をしました。

「私はユダヤ人ではありません。しかし、時折自分にユダヤ人の血が流れているかもしれない、と思うことがあります。出来れば、そう願いたいものです」、と。

先日、私が実家を訪れた際に、テレビでチャップリンの生涯についての番組が放映されていました。

『独裁者』という映画があります。ヒトラーを風刺、批判した作品として有名です。

チャップリンは何故ヒトラーを批判したのかという疑問が、彼がユダヤ人だったから、と推測すると、この疑問は一気に解けます。

ユダヤ人にとっての絶対者は神のみであり、彼らは個人崇拝という思想を受け付けないのです。
勿論、ユダヤ人も優れた指導者には敬意を払います。しかし、それは絶対者ということではないのです。

モーセはユダヤ教において最も優れた指導者ですが、そのモーセであってもユダヤ人は神の代理人であっても、神ではないと考えていました。
モーセはしばしば岩の上に座りましたが、民衆は彼のために椅子やクッションを用意しませんでした。

チャップリンが『独裁者』でヒトラーを風刺したのは、例えて言うならば「ピュリム・シュピル」のようなものである、とトケイヤー氏は指摘します。

ピュリム・シュピルとはイーディッシュ語(東ヨーロッパにおけるユダヤ人の言語)で滑稽劇の意だそうです。

これは学校の生徒が先生に扮して笑いを取るという大昔から行われている寸劇だそうで、この時は先生も一緒になって笑うのが習わしとなっているそうです。

軍隊でも行われます。普段は厳しい上官を、部下が上官に扮して滑稽に演じるのです。この時ばかりは上官も部下達と一緒になって笑います。自分自身を笑えることが、度量のある証拠なのです。