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英雄の定義

歴史学者の加来耕三氏によると、英雄の定義とは「配下の食糧を保障すること」だそうです。

もっと簡単に言えば、「仲間を食わせることが出来るかどうか」です。

古代中国には「流民」と称される人々がおりました。

これは農村で飢饉や不作によって、農作物がとれなくなり、元来は不本意ながら、後には積極的に他村に侵入し、食料を奪う人々のことです。

このシステムのおそろしいというか末世的なところは、流民の侵入によって一村まるごと壊滅すると、その人達も流民にならざるをえなかったことです。

ゾンビにやられるとゾンビになる、みたいな。

道徳に縛られるのを厭う人も世の中にはいるかもしれませんが、人生において道徳に基いた道を歩めるというのは、大変ありがたいことです。

流民が千人ほど集まりますと、どういう方法か、その人達に食料を調達してくることが出来る人が現れるようになります。

そしてそういう人が頭目になります。

千人の頭目であれ、万人の頭目であれ、どこかの時点でそのような人が現れます。

「賊軍」という言葉がありますが、元来は古代中国の流民が集合して賊徒ぐらいの規模になった集団を指す言葉らしいです。

『三国志』の冒頭では黄巾賊の乱が描かれますが、曹操はどうすれば農村が収穫を増やし、棄民となることを防ぐことが出来るかを考え、屯田制を大規模に実施しました。

屯田兵は普段は農業に従事し、有事に際しては兵となる軍事制度ですね。

どうやって食べていくかというのは、人類にとって最大の関心事の一つでした。

今はダイエットや人間関係で悩む人が多い。

飢えを克服出来ただけでも飛躍的な進歩なのですが、人類はそのことに感謝しているでしょうか。