仕事

工学という学問

ドラッカーによると、中世ヨーロッパの大学で教えていた学問とは神学や哲学、文学といったものであり、学問がお金を生む、あるいはビジネスのための学問という発想は無かったそうです。

現在、世界中の大学で理工系の学部が隆盛していますが、長らく学問としての社会的地位は認められなかったそうです。

仕事の内容を科学的に分析し、何をどうすれば生産性が上がるかを明らかにしたのはフレデリック・テイラーです。

テイラーの指導によれば、熟練工が何十年とかけて習得してきた技能を、初心者が2、3ヶ月、長くても半年で熟練工と同等か、それを凌駕する技能を習得出来るようになったのですが、これに対して職人達は猛烈に反対しました。

自分達の存在意義が脅かされるからです。

しかし、テイラーは仕事において成果を次々と出していったので、彼の主張は次第に認められていきました。

興味深いのは、これはアメリカ人であるドラッカー自身が言っていたことですが、アメリカはもともと戦に強い国では無かったということです。

ただ、工業生産力が飛躍的に増大したことと、戦闘機の操縦をいかに簡単にするかという発想を持っていました。

零戦の性能は当時としては非常に良かったのですが、操縦はやや難しく、撃ち落されるとパイロットも失いますので、後半は新米パイロットが出撃して、標的となりました。

「組織人として働く人々の多くが、驚くほど成果を上げていない。彼らの才能や努力が足りないからではない。成果を上げるという問題意識を持っておらず、その方法論を知らないからである」

ドラッカーの言葉を座右の銘として、今日も精進してまいります。