思想

フィロン

今、箱崎総一著『カバラ』(青土社)という本を読んでいます。

箱崎氏は脳外科医から医者のキャリアをスタートさせた精神科の医師です。

ニューヨークで研修医としての仕事をしていたのですが、その時の先生や同僚がほとんど全て東欧系ユダヤ人だったそうです。

彼らの思考様式や生活態度に触れるにつれ、非常に感銘を受け、ユダヤ思想の文献を広く読むようになり、ついには自分でも本を出版するようになったのだとか。

面白いことに、私がその著作に親しんだマーヴィン・トケイヤー氏の翻訳本も出しており、彼とは友人であるとのこと。

カバラとはユダヤ神秘思想のことであり、ユダヤ思想とピタゴラス派の数秘術の思想が合体した思想体系である、とウィキペディアには紹介されています。

ここで、フィロンというユダヤ教のラビが登場します。

紀元前38年、アレクサンドリア市でギリシャ系住民によるユダヤ人に反発する暴動が起きました。

これは当時のローマ政府の総督による政治的策謀であった、と噂されています。

ともあれ、ユダヤ人は自分達の身の潔白を証明するために皇帝カリグラに直訴することを決断し、その大使として任命されたのがフィロンです。

フィロンの浩瀚な著作はほとんどギリシャ語で書かれ、その思想的背景はユダヤ教なのですが、ユダヤ人にはあまり歓迎されなかったそうです。

どちらかというと、後のキリスト教徒が彼の著作の熱心な支持者となったのであり、そのためフィロンをキリスト者であると誤認する人も多かったのだそうです。

何故、ユダヤ思想にピタゴラス派の数秘術が合体したのか、という理由は、フィロンの著作にその理由を求めることが出来そうです。

数秘術とは、数字には全て意味がある、という考え方ですね。

西暦での生年月日を一桁ごとに足し、一の位になるまで足すと、1から9までの数字になるわけですが、それはその人の性格や運命を象徴しているという思想です。

例えば私の場合、1が運命数になるのですが、これは「開拓者」としての使命を表しているのだそうです。

西洋占星術で鑑定すると私は牡羊座なのですが、牡羊座の特徴も「開拓者」というキーワードに集約されていくので、確かに一致しており面白い。