企業

シリコンバレーの旗手

アンディ・グローブがCOOとなった1979年から2005年に会長を退く四半世紀の間に、インテルの売り上げは19億ドルから388億ドルと実に20倍に増加しています。

『アンディ・グローブの世界』(同文館出版)の共著者の一人である加茂純氏によりますと、「インテル入ってる」のキャンペーンを発案したのは、当時電通の社員としてインテルの日本での事業・広告戦略を担当した加茂氏自身であると証言しています。

当初、この広告は「intel in it」と筆記体風の印字で書かれ、それを右回りの円で囲んだデザインでした。

日本での広告実績がインテル本社に紹介されると、現地の広告会社は「Intel Inside」とやや活字風の文字を左回りの円で囲むデザインに改変して使用するようになりました。

非常に似てはいるのですが、日本側への使用権の許可に関する問い合わせは無かったそうです。

グローブは生前、自社の展示館において、「intel in it」がオリジナルであることを示すと明言していたそうなのですが、彼の死後、日本の貢献に関する部分は割愛されてしまったそうです。

彼が生きていれば、全ての社員の意見に耳を傾けていたアンディのことですから、この展示を無くすという判断はしなかったであろうと加茂氏は推測します。

ちょっと意外なエピソードとしては、初期のインテルには品質管理という概念があまり無かったそうです。

これは、完璧を目指していつまでもスタートできないよりは、50%の出来でも最低限の品質を担保出来ていれば、次の段階へ進もうというベンチャー・スピリットによるのだそうです。

とはいえ、どこが最低限の品質なのかという線引きの問題は国によって考えが異なるのでして、こちらについてはインテルジャパンで活躍された唐澤豊氏が陣頭指揮を取って改善に取り組んだそうです。