企業

二木会とトヨタ

三菱、三井、住友といった旧財閥系の企業はそれぞれグループを形成しており、三菱が金曜会、三井が二木会(にもくかい)、住友が白水会という月一回の社長同士の定例会を開いています。

トヨタは二木会にオブザーバーとして参加しています。

何故、オブザーバーとしての参加なのか、ということについて述べます。

これは同社の歴史に起因しています。

トヨタと言えば、今や日本を代表する世界的企業であると誰もが疑わないと思いますが、戦後間もない頃は、二流、三流企業と見なされていた時期があったそうなのです。

1949年、ドッジライン(金融引き締め政策)の影響により、トヨタは倒産寸前の状況となりました。

そこで日銀の主導によって銀行団を作りトヨタを救済することになるのですが、当時のメインバンクであった住友財閥系の大阪銀行は「機屋(はたや)に金は貸せても、鍛冶屋には貸せない」と言って融資を断ってしまいました。

そればかりか、大阪銀行はトヨタとの取引を解消し、貸出金の回収を始めたというのですから、トヨタはこの当時の銀行の対応を決して忘れることはありませんでした。

三菱財閥系の千代田銀行も融資を拒否しました。

結局、三井財閥系の帝国銀行と東海銀行を中心とする24行の銀行団によってトヨタの救済は行われました。

1964年、プリンス自動車(現・日産自動車)が経営危機に陥った時、同社のメインバンクである住友銀行から救済を依頼された時、「鍛冶屋の私どもの出る幕ではありますまい」と言ってトヨタは救済に手を貸しませんでした。

お金の問題は大事なんだよ、という教訓です。