人物

スタイル

スティーブ・ジョブズやグーグルの幹部、そしてシリコンバレーの起業家達ほとんど全てに影響を与えたと言われるビル・キャンベル。

彼は一緒に働く人々に親身に接しました。ビルを親友であると心の底から考えていた人は少なくとも2000人はいただろう、とはある親友の述懐です。

グーグルは独自の企業文化を持つことで知られていますが、面白いのは、スタッフ・ミーティングを旅の報告から始めること。

趣味の集まりや友人同士のお喋りの場ではなく、会社のミーティングで、です。

業務上の報告や協議のみをしていた場合と比べて、お互いの理解が深まり、業績も向上するそうです。

私がその著書をよく読み、尊敬している人物の1人に、ダン・ケネディがいますが、彼は面談や、電話でのアドバイスのアポを取りつけるのが、非常に難しい人物でした。

勿論、ダンに相応のコンサルタント料を支払う用意があると表明すれば、事は容易に進んだのかもしれませんが、それでも電話で30分間、彼の時間を自分に使ってもらうのは大変なことであろうと顧客は考えたはずです。

もっとも、ダンは自分が経営コンサルタントとして有名になる前から、アポを取るのが容易ではない、つまり「売れっ子コンサルタント」のように振る舞っていたそうです。すぐに忙しくなり、本当の売れっ子コンサルタントになったのですが。

思うに、優れたコーチも人によって、その指導の仕方は様々であるということなのでしょう。

『1兆ドルコーチ』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル共著、ダイヤモンド社)は、ビル・キャンベルの教えを直に受けた弟子達が、彼が亡くなったことによってそのコーチングの内容が失われてしまうのは人類にとっての損失であると考え、その思想と手法を世界中の人々とシェアしようと思い立って書かれた本です。

宗教的な思考をする人にとって、企業経営の究極の目的は他者への愛である、という表明はそれほど突飛な発言ではないと思いますが、その理念をこれだけの実績とともに語れる人物はあまりいない、いや、ビル以外の人物には成し遂げられなかったことであろうと思います。

だから、私はビルがしてきたことと、したかったことを学びたいのです。