思想

陰と陽

天地万物は陰と陽の組み合わせによって構成されているという思想は、『易経』での記述が最も古いそうです。

その後の古代中国の思想では、諸子百家が輩出しましたが、道家においては言うに及ばず、儒家もその思想を取り入れています。

儒家は「怪力乱神を語らず」という言葉があるように、今風に言うならば実験によって追体験出来ないような不確かな事は原則として言及しない人達なのですが、天地万物を見れば陰と陽によって成り立っているのは紛れもない事実なので、こちらはOKなのですね。

最近、私は『鬼谷子』という本を読んでいるのですが、これは『孫子』の先生が著した本だそうでして、縦横家と呼ばれる弁舌によって外交を有利に導くことを生業としていた人達の人心掌握の技術について語った本です。

陰に始まり陰に終わる。

王に説く前に周到な準備をし、弁舌をもって王に献策し、事が成った暁にはその地を去る。

アリストテレスに代表されるような西洋の弁論術が弁論そのものに重きを置いているような印象を受けるのに対して、『鬼谷子』は、語るという行為と同じくらいに沈黙にも重きを置いています。