仕事

志に人と金が集まる

馬雲率いるアリババは中国最大、そして未来のトップ500企業を目指して歴史に登場しましたが、実は運転資金が潤沢にはありませんでした。

『ニューズ・ウィーク』で紹介されたので多くの人々の関心を集め、取材に訪れたアメリカ人ジャーナリストは馬雲の自宅兼オフィスで働く18人の従業員達の様子を見て驚きました。

彼らは昼夜を分かたず働き、疲れると各々が床に寝転がって寝るのです。そこにはベッドや、ベッドの代用となるソファもありませんでした。

ジョセフ・ツァイという人物がいます。台湾出身でアメリカでMBAを取得した弁護士であり、投資会社の副会長としてアジアの有望な会社を探していました。

ツァイはアリババの実態を探り、場合によっては買収工作を仕掛けるつもりでした。

ツァイはアリババのオフィスを案内してもらい、社員の働く様子を見学すると、馬雲の手を握って「さようなら」と言って去りました。

投資の話もせずに?

馬雲は自分の稀有壮大な話とは裏腹に、みすぼらしい自分達のオフィスを見て、ツァイは落胆して帰ったのだろうと思いました。

それでいい。それでいいんだ。アリババのアリは正直な男だった。

気にしている暇すら彼にはありませんでした。

ところが後日、ツァイは美しい女性を連れて再び馬雲の元を訪れました。その女性は彼の妻でした。

「馬雲さん、私は今の仕事をやめてあなたと共に働きたい。私を使って下さい」

妻を同伴したことが、彼の決意を物語っていました。

現在の収入や地位を投げ打ってでも、アリババで働く意義がある。馬雲という一人の人間の志が、多くの人材や投資資金を引き付けていくことになります。

次回はアリババ発展についてどうしても触れておきたい孫正義氏について書きます。