企業

企業の社会的責任

日本の財閥は明治を迎えて、それぞれ存続の危機に直面しています。

家業から企業へと変貌と遂げ、さらに進化した形で生き残るのです。

住友グループの2代目総理事、伊庭貞剛は明治の半ばから深刻な社会問題となっていた別子銅山の煙害を解決するために、精錬所を新居浜から四阪島へ移転しました。

そして、銅山の開発によって荒廃した西赤石山系の山々で植林を推進しました。

それに際して山林管理のために作られたのが、住友林業です。

現在、一般家屋の建築会社として知られていますが、元々は銅山開発によって荒廃した山に植林をする目的で作られた会社なのです。

CSR(企業の社会的責任)という概念がありますが、住友は元々、僧侶が始めた商売なのです。

だから、お金を稼ぐに当たって世の中に貢献する、という使命を掲げているのでしょう。

アダム・スミスは各人が各人のやりたいように商売をしたとしても、神の見えざる手がそれらをうまく調整して下さる、と主張しました。

それをもって、「随分と理想主義的な思想ではないか」と思った人もいたでしょう。

しかし、「あなたが見ている世界は、あなたが思っている通りの世界である」という考え方もあります。

渡る世間に鬼は無し、と思えばこの世は義理人情に厚い世界ですし、そうでないのなら…。