宇宙

ケンタウルス

無事、退院してまいりました。

入院中、退屈しないように『ハリー・ポッターと賢者の石(後)』(静山社)を読んだ。

ハリー・ポッターシリーズは世界中約80国語に翻訳されており、ラテン語にも翻訳されている。

作者のJ.K.ローリングは物心ついた時から作家を志していたが、ポッターシリーズを書くまでは生活保護を受けていた。

この作品のヒットにより、ローリングはイギリス王室から勲章を授かり貴族となった。

総資産は日本円にして840億円ほど。

スコットランドに4件、ロンドンに1件の邸宅を持つ。

それにしても、世界中の少年少女を魅了したこの物語は、これほどに精緻な内容なのだが、イデアの世界には本当に魔法学校が存在するのではないか、というほどに詳しく書かれている。

多分ジョーク、と解釈しているが、魔法学校の入校案内みたいな募集広告を見ることがある。

「賢者の石」では、校則を破ったハリーとロン、そしてハーマイオニーとネビル(失敗が多い生徒だったが、やがて立派な人物として成長していく)とマルフォイ(魔法族の名家出身でハリーのライバル、どちらかというと嫌われ者として描かれている)がハグリッド(ホグワーツ魔法学校の用務員さん、のような感じだが学監のようでもある)に連れられて「禁じられた森」に行く。

罰として、最近森の中でユニコーンが誰かに傷つけられているので、その実態調査をしてくるように、との学校の要請だった。

すると、ケンタウルスが何人(?)か出てくる。

ケンタウルスは上半身が人で下半身が馬という伝説上の生き物である。

彼らの性格描写が興味深かったので紹介する。

彼らのうち二人は「ああ、今夜は火星がいつもより瞬いている」と言う。

ハグリッドいわく、「彼らは星の瞬きには興味があるのにこの世の目の前の出来事にはさほど関心が無い。該博な知識を持っているが全てを人間に教えようとはしない。さりとて、人間に対する親切心が無いわけではない証拠に、私が呼ぶとほぼ確実に出てきてくれる。」、と。

ちなみにケンタウルス同士はそれほど仲が良いわけでもなさそうだ、とのこと。

ケンタウルスの一人がハリーの苦難を察して「私の背にお乗りなさい」と言って、ハリーを乗せて疾走した。

すると、それを見咎めたもう一人が、

「人間を乗せて走るだなんて!君はいつからロバの代わりをするようになったのだ。君にはプライドというものがないのか」となじる。

「ハリー・ポッターは魔法族の中で最も有名な人物の一人ですぞ。その人物の苦難を前にして、これを助けるというのが我々の義侠心というものではないのですか」

ということで議論になってしまう。

ケンタウルスにお目にかかったことはないのだが、何か妙にリアリティーがある。

そして、人生において、私達は時にそのような事態に遭遇したりする。

ホグワーツでの7年間のハリー達の活動記録でもあり、夢と冒険の物語でもある。この話に、もう少しお付き合いするとしよう。