六本木の森アーツセンターギャラリーにて「古代エジプト展」を観てきた。
人生の折にふれてエジプトには親しんできたのだが、正式なエジプト展を観るのは初めてである。
石に刻んだヒエログリフを見たのだが、美しいと思った。
言葉が美しくなければならないのと同様に、残される文字もまた、美しくあらねばならないのだろう。
面白いのは、ピラミッドの建設にあたって、僕が子供の頃には奴隷による強制労働だった、と説明されていたのだが、最新の研究ではこの解釈を明確に否定している点である。
作業を始める前に作業従事者のために街を作った。
そこではパン工房や、ごみ捨て場があったことが確認されている。
又、ファラオは「何人も労働を強制されることなく、感謝と希望を持って仕事に当たらんことを」という詔勅を出している。
ピラミッドの実物を見たことはまだないが、あれだけの建造物を何十年にも渡って作り続けるには、人々の心がバラバラでは、ましてや嫌々作業をしていたのでは、とても出来上がらなかったであろう。
「よっしゃ、やったるでーっ!!」という矢島金太郎のような現場監督もいたのではなかったろうか。
そう考えると、遠い国の、はるか昔の話でありながら、あながち他人事でもないような、そこに住んでいたのはかつての私であり、あなたかもしれないのである。