人物

天下取りの極意

56歳の誕生日である本日、静岡県の久能山東照宮に参拝してきた。

徳川家康公の最初に建立された霊廟である。

日光には幾度となく参拝しているのだが、久能山に参拝しようということはそもそも発想が無かった。

これは地理的要因、つまり日光のほうが静岡より近いから、なのだろうと思っていたが、実際に行って調べるうちに、その真因がわかった。

久能山は徳川家にとっての聖地であり、江戸時代は庶民の登山が禁止されていた。

近代以降に一般公開されたが、観光地化によって、人々が大挙して訪れることを関係者はおそれた。

そこで日光が出てくるのである。

家康公のご遺徳を偲びたい方は、日光にいらして下さい、というわけである。

こちらはどれほど参拝客が増えてもOKである。

こうして、「表の聖地」と「真の聖地」(日光も真の聖地であることには違いないのだが)の役割分担が確立していった。

墓所の傍らに楠の巨木があり、「金の成る木」という逸話が紹介されていた。

ある時、家康公が家臣達に、「そなたたちは、金の成る木を知っているか」と問うた。

誰も知る者は無かった。

家康公は筆を取り、3本の幹のある巨木を描き、「これすなわち、ほど良き、慈悲深き、正直なり。この3つを守り実践するならば、そなたらの家は富貴で満ちることいとたやすし」、と。