思想

何がメンタル・ブロックになっているか

メンタル・ブロックとは、あなたの成功を阻む思想や経験のことです。

「あなたはお金持ちになりたいですか?」とか「成功したいですか?」と聞くと、大抵の人は「はい。私はお金持ちになりたいです」とか「成功したいです」と答えるでしょう。しかし、潜在意識ではお金持ちになりたくない、あるいは成功したくない、という人はことの他多いようです。

それは自身の経験や、親や学校の先生、友人知人の影響もあります。

僕は先日、YouTubeで手塚治虫氏の『火の鳥』を偶然見ました。過去から未来まで、人の転生輪廻をテーマにした壮大な物語なのですが、その中に「奈良編」というのがあります。大仏にお供えする鳳凰の彫像を二人の彫刻家に彫らせて、良いほうを採用するのですが、一人は片腕の彫刻家、というか乞食僧なのですが、元は大盗賊で多くの人を殺め、もう一人の彫刻家に怪我を負わせたようでした。

出来栄えを見て、乞食僧の作品が採用されそうになったのですが、もう一人の彫刻家が「お待ち下さい。その男は、かつては大盗賊で、多くの人々を殺めた悪人です。私も旅の道中で彼に襲われ、怪我を負いました。そのような男に、大仏に供える鳳凰を彫る資格があるのでしょうか」と訴えました。

その話を聞いた吉備真備が「よろしい。では、お前の望みを聞いてやろう。その男をどうすればいい?」と聞いたので、彫刻家は「その男のもう一方の腕を切り落としていただきとうございます」と答えました。そして乞食僧はもう一方の腕を切り落とされてしまいました。

僕は13歳くらいの時にテレビでその話を見たのですが、「なんてひどいことをするのだろう。片腕だけだって生きていくのには大変だろうに、もう一方の腕まで切り落とすなんて!」と思ったのを思い出しました。そして、(そんなことを人に命令するのが権力者であるならば、僕は権力者になんてなりたくない)と思ったことを思い出しました。

そう、これが僕のメンタル・ブロックだったのです。

この話が史実かどうかはわからないし(多分架空の話)、吉備真備は教科書にも載っているので徳の高い役人だったのだろうと思うのですが、偉い人は悪いことをする、という一種の刷り込みだったと今では思います。現実の世界では成功者にも善人と悪人がおり、成功していない人にも善人と悪人がいる。

手塚治虫と言えば漫画の父であり、その功績は大変立派だと思うのですが、人の思想や主義主張を無批判・無前提に受け入れてしまうと、違う所に連れて行かれてしまうと最近は考えています。