思想

十言神呪(とことのかじり)

十言神呪(とことのかじり)とは、ここ一番という勝負に臨む時に唱える呪文である。

内容は、

ア・マ・テ・ラ・ス・オ・ホ・ミ・カ・ミ

と十回唱えるというシンプルなものである。

正確には手印を組むのだが、唱えるだけでも効果絶大である。

この秘術を使った歴史上の人物が二人いる。

一人は楠木正成。

もう一人は武田信玄である。

楠木正成は日本史上最高の天才軍略家である。

千早城で1000人ほどの軍勢で5万とも20万とも言われた鎌倉幕府軍を迎え撃ち、100日以上籠城した。

これを見た足利尊氏や新田義貞が幕府に反旗を翻し、鎌倉幕府は滅んだ。

武田信玄は言わずと知れた、戦国最強と謳われた名将である。

彼らの強さには、このような秘密があったのだ。

楠木正成は日本で最初のイデオロギストである、と司馬遼太郎氏は評した。

何故、後醍醐天皇のために、それほどまでに戦えたのか。

いかに「そなたを頼りにしておる」と肩に手を置き言われたとしても、天皇の家臣なのか…?

私は天皇の臣なのだ、と言われても、周りの人はポカーン…という状況であろう。

だって、サラリー(録)をもらってないから。

しかし、楠木公の生き様は時代を超えて人々の心に生き続けた。

幕末、京の人々が長州を支持したのは、「長州様は楠木公をやろうとしている」と思ったから。

その強さの裏に、秘術あり。