随想

青春の面影

杉山清貴&オメガトライブが40年ぶりに全国ツアーを敢行するということで、かなり話題となっている。

30ヵ所を廻る。

一夜限りの復活とか、評判が良かったので東名阪で一日ずつライヴやります、ということではない。

30ヵ所というところにオメガの本気度を感じる。

インターネットの影響力というのは大変なもので、昨今の日本のシティーポップスが再評価される中で、オメガトライブも注目されているらしい。

NHKにも40年ぶりに出演した。

僕の兄もライヴ盤のLPを持っていたし、高校のクラスメートの女子は食堂にお弁当を注文する際、「杉山清貴」という偽名(?)を使っていた。

『ルート134』という歌がある。

葉山を抜けたら

風の匂いが変わる

この歌詞から想像出来るのは、東京方面から休み前日か休日に、湘南に行く人である。

考えてみれば湘南に出るには他のルートもあるはずである。

静岡から来る人もいるだろうし、八王子から平塚に出て、江の島方面に行くルートもある。

でも、この歌に出てくるのは東京に住んでいる、もしくは東京で働いている人が週末はどう過ごすか、という話である。

この歌に憧れて、仕事が終わって湘南に出向いた人も多かったのではないか。

ふと、片岡義男さんの小説や、銀色夏生さんの詩集が40年ほど前は大量に置いてあったのを思い出した。

彼らの作品を買って読んだことは一度も無かったが、そういうのが青春なのだろうと漠然と思っていた。

ほどなくして、やや違うジャンルの本を大量に読むこととなり、思い描いていた青春とはほど遠い人生を送ることとなったが、まとまった時間が出来たら、片岡義男さんの小説や銀色夏生さんの詩、そして杉山清貴さんの歌を聴いてみようと思う。

青春の何事かを、思い出してみたいのである。