人物

BNFさんのその後

BNFと言われても何のことかわからないという人は多いと思うが、ジェイコム株大量誤発注事件で利益を得た人、と言えば「ああ、そんな事件があったな」と思い出す人もいるかもしれない。

BNF氏。日本の個人株式トレーダーである。BNFというハンドルネームの由来はアメリカのヘッジファンドマージャーであるヴィクター・ニッダーフォッファーに憧れて名乗ったらしい。(ちなみにヴィクター氏の綴りはVictor Niederhoffer)

2005年、みずほ証券の担当者がジェイコムの株を「61万円で1株売り」と注文すべきところを「1円で61万株売り」と誤発注した。

すぐに誤発注に気付き、1分25秒後の9時29分21秒に取り消し注文を出したのだが、コンピュータのバグによりその注文が入らなかった。

BNF氏は7100株を取得、同日中に市場で1100株を売却、残る6000株(発行株式の41.38%)を現金決済し、20億3500万円の利益を得た。

最近ではマーケットでBNFという名前を聞かなくなったので、引退したのだろうと言われている。

高級住宅とタワーマンションの購入、そして親に高級乗用車をプレゼントした以外には、特に贅沢はしない私生活だったと言われる。

総資産は2000億円ほどだと言われるが、庶民の感覚を忘れないようにカップ麺を好んで食べたそうだ。

テレビのインタビューで「海外に行ったことがない」とインタビュアーの久米宏さんに語り、久米さんに驚かれていた。

孫正義氏がプライベートの資産運用をBNF氏に依頼したが、丁重に断った、とのこと。

贅沢をしないのなら、何故株式投資をしていたのか、という疑問が起きるが、「その気になれば、誰でもお金は稼げることを証明するため」というのが彼の答えかもしれない。